相撲を「国技」と呼ぶ本当の理由とは?実は“あやしい”日本の伝統
古くからつづいているものだからいいものに違いない、という思い込みに振り回されてしまうんです」(藤井さん・以下同)
藤井さんによれば、伝統だと思われている行事や習慣の多くは、実は明治期以降に新しく“発明”されたものだという。それでは、こうした日本の伝統はいつ、どのようにつくられ、どのように受け入れられてきたのだろう。藤井さんが解説してくれた。
■相撲が「国技」なのは、建物が「国技館」だから!?
まずは先にも触れた話題の“国技”相撲だが、そもそも日本には法令で「国技」と定められたものはない。
「相撲そのものが太古の昔から存在していることは事実で、『日本書紀』にはすでに『相撲』の文字があります(720年)。しかし、相撲=国技の始まりは、明治42年と、ずいぶん最近のこと。しかも、屋根のある相撲の常設館を建設した際に、その建物を両国“国技館”と命名したことによるんです。つまり、“国技”のための施設だから国技館と呼ぶのではなく、国技館という建物でやっているから“国技”になったわけです」