「子どものころさ、よく遊びに連れていってくれたよね?幼稚園や小学校、ズル休みしてね」
口元に笑みを浮かべながら、40年近く昔のことを懐かしそうに話す息子。母は大げさに首をかしげてみせた。
「えー、ズル休み?ホントにそんなこと、あったっけ?」
とぼける母に、息子はあきれたと言わんばかりに「何言ってんの、あったじゃんよ!」と反論する。
詰め寄る顔には、それでも柔和な笑みが浮かんでいる。やがて母は観念したのか、いたずらがバレた幼な子のような表情を浮かべ「あったね……」とつぶやいた。すると次の瞬間、親子は顔を見合わせ「ハハハハッ」と声を上げた。
笑い合う2人は俳優・浅野忠信さん(44)と、その母・順子さん(67)。
息子の肩をたたいて、楽しそうに笑う順子さん。
重ね着したニットに、大ぶりなチェック柄のオーバーオールというラフで若々しい装いが、ほっそりとした体と、長い手足によく似合う。カジュアルなスタイルのなか、首元に巻かれたモノグラムのストールがいっそう映えて見えた。