2018年3月31日 11:00
「なぜ薬は飲みにくい?」龍角散初の女性役員の原点は薬剤師時代
守りたい。それが、福居さんの製薬の原点だ。
福居さんは’64年12月27日、広島で生まれた。親戚に尊敬する医師がいた影響で、いつしか医療の道を志すように。大学の薬学部薬剤学科に進学し、卒業後は患者さんと触れ合う仕事がしたいからと、臨床薬剤師として病院に就職した。その後、両親が住む近所の病院の薬局に転職すると、患者さんの薬の悩みを聞く機会が増えた。
患者さんの薬の悩みを聞いているうちに「どうしたら、楽に薬を飲めるのだろう」という疑問が、福居さんのなかで膨らんでいったという。
「それなら一度、薬を作る側に回ってみてもいのかな」
そんな思いで、新聞の求人欄で見つけた龍角散の採用試験を受け、合格。
’91年、福居さんは26歳になっていた。
社長面接で、先代の社長に「うちは専門性を重視した縦割りの業務体系だが、横断的にいろんな部署をまたいで活躍してくれる人材が欲しい」と言われた福居さんは、「いろんなことにチャレンジできる」と、意欲満々だった。
しかし、入社してみると、200年を超える歴史ある企業には、旧態依然とした空気が蔓延していた。