【おとなの映画ガイド】ゲーマーがプロのレーサーに! 夢のような、でも実話の映画化──『グランツーリスモ』
そのヤンと、プロジェクトの発案者で日産のマーケティング担当ダニー・ムーア(オーランド・ブルーム)、そして、かつて伝説的なレーサーだったチーフ・エンジニアのジャック・ソルター(デヴィッド・ハーパー)、この3人それぞれの思いが絡みながら物語は進行していく。
17インチのモニターでしかレース運転経験のないゲーマーのヤン。何千回とドライブシミュレーターで経験しても、運転席に乗り込んで、時速320kmの、まるでロケットに乗るような体感はリアルでないとわからない。ゲームなら「ゲームオーバー」ですむけれど、「コースアウトをしたら死を意味する」のが現実のレースだ。
また、ゲーマーがリアルドライバーになることへの、業界関係者の反発、反感は相当なもので。競争相手からは「シムレーサー(ごとき)が」という言葉が頻発される。チーフ・エンジニアのジャックですら、最初は「できるわけがない」と思っている。
味方になるはずの家族も、ゲームばかりやってないで…から、そんな危険なことを…にスタンスは変わるが、理解が得られるまでには時間がかかる。
そんな、イノベーターに押し寄せる周りの不理解との戦いも、うまく描かれている。