2022年12月22日 12:00
とっておきのサックスとの出会い 若き名手が招くサントリーホールの優雅な午後
今回は3曲。超難しいスリリングな《エスクアロ(鮫)》と、背中で語る《オブリビオン(忘却)》の美しさ、はかなさ。そしておなじみの《リベルタンゴ》は啼鵬(ていほう)さんのアレンジで、最後はソプラノ・サクソフォン持ち替え。聴きごたえも吹きごたえもたっぷりです」
この楽器特有の「人間臭さ」はピアソラにぴったりだと話す。
「サクソフォンの音色や表情。ただ美しいだけじゃないのが人間らしいんです。むせび泣く時もあれば、二日酔いっぽい時も怒り狂う時もある。かと思えばこの世のものと思えない美しい音も出せる。
本当にいろんなことができる楽器だということを、このプログラムを聴けばわかっていただけると思います。
たとえばビゼーの時代のサクソフォンは、現代の楽器ほど華やかではなかったんですね。そんなことも考えて吹き分けますし、ヴィブラートひとつとっても、作品によってかけ方を変えています。どの曲も全部音色が違って聴こえると思います。
だから、サクソフォンをあまり聴いたことがない人やクラシックの演奏会が初めてという人にもぜひ聴いてほしいです。この楽器のイメージが絶対に変わるはず。お昼ご飯を食べた後でも絶対眠くならない、眠くさせない曲ばかり!本当にこれ、最高のプログラムです」