2023年2月16日 18:00
【インタビュー】世武裕子、ピアノ弾き語りシリーズ第2弾「実はその背景にあるものこそが最も豊かで実りのあるもの」
世の中って、基本的には狭い範囲の“私とあなた”の文化で成り立っていると思うんです。それが本当は少し居心地が悪かった。でも音楽をやっていくんだったらそこにアダプトしていかないとダメだよなって思ってやっていたのが10年前の私でした。今は、そこから時間をかけて抜け出して、全然違う次元にいる感覚がります。
――より自分自身に沿った、言ってしまえば素の部分を書けるようになったということでしょうか?
歳とともに周りに振り回されずに生きていけるようになったっていうことなんだと思います。余白ができたことで、余裕がなくなってきたというか。
――最後の歌詞も変わっていますよね。〈アストロボーイ〉が〈ムービースター〉に、〈ロックスター〉が〈Her Majesty〉に。
ここで書かれている〈Her Majesty〉というのは、文字通り〈女王陛下〉のことなんですか?
そうですね。〈ムービースター〉はゴダールが亡くなったタイミングで、この歳になって、本当に自分がリアルタイムで憧れていた人とか、時代を象徴していたような人とかが亡くなっていくっていうのはこういう感じなんだっていうのを突きつけられるというか。