賞味期限切れの食品はすぐ捨てるべき? 映画『もったいないキッチン』監督と考える
確かに食べられる食品を捨てることはよくない。無駄もよくない。使えるエネルギーや食べ物は大事にしたい。でも、店でパッと食品が買えるのは便利だし、お腹をこわすかもと思いながら食事をするのはイヤだと思ってしまう。この映画はどちらの意見もちゃんと聞き入れて、対話を通じて、次に何ができるかを探っていく。
「私が監督して映画で表現したいのは、何よりも“多様性の美しさ”です。様々な考え、いままでに存在しなかった主義、主張がどれほど刺激的で魅力的なのかを表現したいんです。コロナ以降の時代はより多くの人との対話を通して、自分の意見を拡張できるようにしていかなければならないと思っています。
真実とはそもそも非常に柔軟で、時代によって変化するもの。そのことを忘れるべきではありません。ですから、この映画を通して、たくさんの人が実りある対話をして、新しい考えや新しい気づきにオープンでいてもらえたら、と考えています」
本作はグロス監督と塚本ニキのコンビの“おだやかな旅”を描くロードムービーであり、同時に観客に様々な問いを投げかけるドキュメンタリーだ。だから観終わったあと、ここで描かれている意見や主張に反発したり、違和感を抱くこともあるだろう。