賞味期限切れの食品はすぐ捨てるべき? 映画『もったいないキッチン』監督と考える
とグロス監督は笑う。
「もちろん半分はジョークです。でも基本的に何かに対して強い関心を持つと、頭の中に完成した映像が浮かぶんですよ。そのぐらい強い確信をもって面白いと思えたものは、たとえ直感であっても良い予感なわけですから、映画化に向けて進んでいきます」
そこでグロス監督は日本人プロデューサーと話し合いを重ねて本作の企画を立てる。自身でキッチンカーを運転して日本を旅しながら、そこで出会った人たちと語り、共に料理をして、日本人の食に対する意識を探り、食べ物が無駄に捨てられてしまうこと、日本人の“もったいない”精神が未来の社会にどのような意味を持つのかを探っていくロードムービーだ。
というのも、日本は食べられるのに廃棄されてしまう“食品ロス”が世界トップクラスに多い。その量は年間643万トンで、1人あたりおにぎり1個を毎日捨てている計算になる。なぜ、食べ物を大事にし、無駄を嫌う日本人はそんなにも大量の食べ物を捨てているのか? グロス監督はこのことに興味を抱きつつも、映画を制作する上では“観客の心に響く内容”になることを何よりも重視したという。
「事実や情報は大事ではあるのですが、それだけだと心に響く映画にはなりませんし、観客の心に響かなければ、伝わるものも伝わらないと思うんです。