賞味期限切れの食品はすぐ捨てるべき? 映画『もったいないキッチン』監督と考える
だからこの映画では事実を伝えることと、エンターテインメント性、エモーショナルな要素をバランスよく作品の中でまとめることを重視しました。
まるで自分が料理人になったみたいに、集まった映像を煮たり焼いたり切ったりしながら、撮影現場でお会いした人たちとの“つながり”を映画で描きたいと思ったわけです。その上で、相棒の存在は欠かせませんでした」
グロス監督は「企画の初期の段階からこの映画には相棒が必要不可欠だと思っていて、それはニキしかいないと思っていた」と振り返る。通訳者でコーディネーターでもある塚本ニキは、前述の『0円キッチン』の日本プロモーション時にグロス監督の通訳を担当した女性。ボランティア活動やフェアトレード事業の経験もある彼女をグロス監督は通訳ではなく“旅の相棒”に指名した。
「彼女と一緒に旅をしている映像が頭の中に浮かんだんですよ。私は西洋からやってきた人間で、東洋の日本の人たちと出会うことになりますから、両者の“架け橋”になってくれる存在が必要でした。それが相棒ニキの役割なんです」
グロス監督と塚本ニキはキッチンカーに乗り込んで日本を旅する。
廃棄食品が持ち込まれるリサイクル工場、賞味期限切れの食品を廃棄するコンビニエンスストア、食材を無駄にしない精進料理を調理する寺、地熱をつかって蒸し料理をつくる人たち……ふたりは様々な場所で暮らす人たちと交流して、食への想いや意識を探っていく。