『フィリップ・パレーノ:この場所、あの空』開催中 箱根・ポーラ美術館の建築や立地をいかしたサイトスペシフィックな展覧会
生命の叙情詩ともいえる映像が終わると、光の明滅や暗転、別の映像の出現などがある。ここでも複数の作品の構成や展開を見届けてほしい。
![『フィリップ・パレーノ:この場所、あの空』開催中 箱根・ポーラ美術館の建築や立地をいかしたサイトスペシフィックな展覧会](https://imgc.eximg.jp/i=https%253A%252F%252Fs.eximg.jp%252Fexpub%252Ffeed%252FLP_P_PIA%252F2024%252FLP_P_PIA_1a772c7f_510e_469b_938e_5794bbb72dc4%252FLP_P_PIA_1a772c7f_510e_469b_938e_5794bbb72dc4_ec58a69c79ff17e059fa_6.jpg,small=600,quality=80,type=jpg)
《どの時も、2024》2024年 Courtesy of the artist Photo by Ken Kato
また、「蛍」をモチーフとした、日が暮れないと見えない作品もある。「以前にも、小さな美術館の庭に、蛍のように見える光が点滅する作品をインストールしたことがありました。日中は見ることができず、テキストだけを受け取る、つまり存在しているけれど目に見えないものを表した作品」。テキストはイタリアの映画監督ピエル・パオロ・パゾリーニが、蛍を、戦後の消費主義とファシズムによって失われた儚いものや、ファシズムへの抵抗の象徴として書かれたものであったという。今回の展覧会でもパゾリーニのテキストは別の形で展示されている。
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《ホタル》2024年写真提供:ポーラ美術館
「何かを見て頭の中にイメージが残ったり、見た後にもずっと残響があったり、呪文をかけられたような効果、それがアートだと思っています。形は彫刻でも絵画でも何でもいい、そこに視線を注ぐ行為そのものが作品だと思っているのです」。