『フィリップ・パレーノ:この場所、あの空』開催中 箱根・ポーラ美術館の建築や立地をいかしたサイトスペシフィックな展覧会
《マリリン》は、マリリン・モンローが映画『七年目の浮気』のロケのときに住んでいたニューヨークの高級ホテルのスイートルームを舞台とした作品。人物は登場せず、声や手書き文字などで不在の存在を浮かび上がらせていく。映像が終わると空間が劇的に変化していくので、ぜひ最後まで体験してほしい。
《マリリン》2012年 ポーラ美術館蔵Photo by Ken Kato
《マリリン》2012年 ポーラ美術館蔵筆者撮影
《ヘリオトロープ》2023/2024年Photo by Ken Kato
パレーノにとって「作品をつくる作業は会話をするようなもの」だという。「人と話しているときは、何を話すとかどこで終わるとか、はっきりしたプランがあるわけではなく、相手の話から次の話したいことがだんだん出てきますよね。そんなふうに作品を作っているので、完成した作品がそこで止まるのではなく、流動的に更新されていくことがごく自然なことだと思っています」。
さらに先の展示室では、コウイカを主人公にしたSF的な映像作品《どの時も、2024》に出くわす。コウイカは、目にしたイメージを自らの皮膚に再現すると言う高度な擬態の能力や知性を持つという。