『ディスクレーマー』アルフォンソ・キュアロン監督インタビュー「本当に信じられるものは何なのか?」
この物語に登場するのは、ある年の夏のキャサリンだ。この小説に描かれた内容が広まれば、彼女の家庭は崩壊し、キャリアは台無しになるだろう。キャサリンは怯え、混乱し、幸福だった日々が静かに崩れていく。
この本を出版したのは、元教師のスティーヴン・ブリグストック(ケヴィン・クライン)だ。亡き妻の部屋から原稿を見つけた彼は小説を出版し、キャサリンに近づく。
この小説には一体、何が書かれているのか?スティーヴンの狙いは?ドラマはキャサリンの物語、スティーヴンの物語、小説に描かれるドラマが並行して展開し、時間は現在と過去を行き来する。そこには優劣はなく、すべてが重要だ。いくつもの視点と物語が層をなすように積み重なっていき、ナレーションがさらなる層をなす。
独立した旋律が同時に鳴り、響きあう“ポリフォニー”の楽曲のようだ。
「撮影監督を務めたチーボ(エマニュエル・ルベツキ)はいつも『映画とは音楽である』と言っていました。この物語ではさまざまな視点から物語が描かれますが、それらはすべて異なる“映画言語”で語られています。それらはおっしゃる通りポリフォニックに響き合うので、それぞれの音を対比させ、コントラストをつけて描くことを心がけました。