『ディスクレーマー』アルフォンソ・キュアロン監督インタビュー「本当に信じられるものは何なのか?」
つまり、フィクションのはずなのに、映像でそれを観てしまった者は「とは言え、それは“カメラの前で起こった”のだ」と知らず知らずのうちに思ってしまう。そして、その想いが先入観を生み、解釈を歪めてしまう。
「映像というのは、説得力がありますが、同時に非常に危険な諸刃の剣なのです。以前であれば新聞に写真が載っていれば、それは真実だと立証されたようなものでした。でも今では逆にフェイクではないかと思ってしまう。そう考えれば、ロバート・キャパの写真だってそこには演出があったわけですよね。でも私たちはずっとそれを真実だと思ってきました。
もちろん、リアルでないものが真実を時に語っている場合もありますし、文脈によって意味が変わるケースもあります。
私はそれこそが芸術=アートだと思います」
本作は、一冊の小説を巡って、そこに書かれている内容によって人生が激変してしまう女性キャサリンと、彼女に近づこうとする男スティーヴンを軸に、複数のキャラクターのドラマが入り乱れる。一体、何が正しいのか?何が真実なのか?私たちは考察したり推理している気でいながら、実はキャサリンを追い込む側に加担しているかもしれない。
「これが本作のメッセージかもしれません」