2019年10月18日 18:00
仏女優ジュリエット・ビノシュが語る“是枝映画の魅力と本質”
「そうですね。私もそのことはずっと感じていました。これは私の予想ですが、是枝さんは子供時代に誰かから受け継いだ“ヘリテイジ(遺産、継承されたもの)”があるのかもしれません。彼は映画づくりを通して、自分の中に蓄積されたものを理解しようとしたり、その影響から回復しようとしているのかもしれません。彼は過去のヘリテイジを持ったまま、いかに生きていくのか?を考えながら映画をつくっているのかもしれません。それゆえ、是枝さんの映画には一種の“メランコリー(ゆううつ)”があります。それは回復されたり癒されたりするようなものではありませんから、物語の中で再びメランコリーを経験して、メランコリーを生きなおすことで、何らかの境地に到達しようとしているのではないでしょうか」
本作でもビノシュ演じる脚本家の娘は母や育ててくれた女性の記憶と向き合い、自分と母の、自分自身との関係を変えていく。映画『真実』はフランスの家族や母娘の複雑な関係を描きながら、さらに深いドラマを見せてくれる。
ビノシュの言葉を頭の片隅に置いて作品を観ると、思いもよらない発見ができるかもしれない。
『真実』
公開中
第2回横浜国際映画祭『東京彼女 presents 新人女優公開オーディション2024』最優秀賞は熊井戸 花さん「自分の中で凄く成長できました」