極限状態の兵士たちが選びとる「プライド」とは オフィスコットーネプロデュース『墓場なき死者』開幕
良質で骨太な演劇作品に定評のある、オフィスコットーネのプロデュース公演『墓場なき死者』が1月31日(日)に開幕する。
本作は、フランスを代表する哲学者、ジャン=ポール・サルトルによる戯曲。1946年にフランスで初演された。物語の舞台は1944年7月、ドイツ軍占領下のフランス。フランスの自由を勝ちとるため戦うレジスタンスの兵士たちは、村民とともにドイツ軍に虐殺され、生き残ったのはわずかに5人。彼らはドイツに協力しているペタン政権派の民兵により監禁され、 隊長の行方を吐くようにと拷問を受ける。 拷問するのは、兵士たちと同じ、フランス人。極限状態の中、男たちがプライドをかけて選択するものとはーー。
演出を手掛けるのは、鵜山仁、松本祐子、青木豪ら、名だたる演出家たちの演出助手を務めてきた、文学座の稲葉賀恵。2019年には立て続けに8本もの国内外作品を演出した凄腕だ。稲葉は「自分が価値ある優れた人間であるのかどうか、拷問する側とされる側が泥仕合の中で『自尊心』を獲得するために這いずり回るさまは、いつの時代にも蔓延る、本質的な人間の心理そのものに迫っています」「この箱庭の中の人間たちを観察することで、今私たちが生きている姿そのものを見つめ直すような作品になれば」