森 大翔『3rd Tour「Let It Grow」』凄まじい濃度で展開された渋谷CLUB QUATTRO公演をレポート
森とGenTiのツボを押さえたソロやオブリのフォーメーションは洒脱なナンバーでも冴えを見せた。
「もっと行けるか?」と森が声をかけ、四分キックが鳴らされるとクラップがさらに大きくなり痛快な「Crybaby Fly!」へ突入。クランチなリフから輝くトーンに開放されていくフレージングも、挫折と憧れを動力にしてジャンプする歌詞も、情動に突き動かされている状態はやはりライブならでは。バランスを重視する音源でのスタンスを飛び越えるカタルシスが目の前で展開するダイナミズムは体感しなければわからない。「最後の曲です!」という彼の声が不服そうなファンの声を上回って、人気曲「アイライ」のイントロが鳴らされると、フロアも“愛来(アイライ)!”のシンガロングとクラップを巻き起こす。
森とGenTiのユニゾンするリフのフレーズが高い中毒性を持っていて、このセクションに乗っかって楽しむ人が多数いる。時に歌メロ以上にキャッチーだ。ありのままのあなたでいてほしいという、セルフラブが主題でもあるこの曲が一体感を作り出すのも大いに納得。
アウトロを2回回し、ステージ上のすべてのライトが点灯して本編は終了。森もサポートメンバーもオーディエンスも目一杯、ヒューマンパワーを使い果たした爽快さが残った。