気鋭、中島梓織主宰のいいへんじが2025年8~9月に新作『われわれなりのロマンティック』を上演
や「友人」というラベリングをせずに、親密な関係を構築できたらどれだけいいだろうと思っていました。わたしが大切な人のそれぞれに対して抱く感情は、いわゆる「恋愛感情」と「友情」のグラデーションの中にあり、築いていきたいのは、ひとりひとりとの固有の関係だからです。
だから、クワロマンティックという言葉と出会ったとき、この感覚に「名前」があったことに、判断しないという選択肢があったことに、救われた気持ちになりました。
とはいえ、相手に合意と確認を取るための、第三者に説明や証明をするための、関係性の「名前」がないことは、それなりに不安なままです。
「名前」は、ときに救いとなり、ときに呪いとなる。これまでのいいへんじの作品でも何度も取り扱ってきた、終わりのないテーマです。
けれどもやっぱり、社会で当たり前とされている恋愛・結婚・家族に当てはめられてしまうのは、どうしても納得いかないのです。「家族の一体感」?なんじゃそりゃ!です。
そこからいかにへらへらと逸脱していくかを企みたいし、恋愛至上主義・異性愛主義・家父長制に、わたしなりのやり方で抵抗していきたいと思っています。
いつものことながら、わたしの極めて個人的な感覚から出発した物語なのですが、これを演劇という形で社会に開いていきたいのは、稽古場で、劇場で、みなさんとおしゃべりがしたいからです。