自分がそうした差別意識を持っていることは、正直に、なるべく隠さずにいようと思って書きました」
そう、焦点はLGBTではないのだ。ひとりの女性が、心の傷をどう解消し、新たな一歩を踏み出していくのか。そのドラマを覗くことで、やはり各々の性差に対する考えがあぶり出されるだろう。男優が女性を表出する仕掛けは、過度な深刻さを避けて空気を緩和しながら、人間関係の新たな気づきをもたらすのでは……、そんな予感がする。
「最初はLGBTについて触れないといけないかな……とも思いましたけど、そこに僕なりの説得力がなかった。加寿美のように生きてきた女友達が僕の周りにもいるので、そういう人に視線を向けたほうが僕自身のリアリティが出るなと思ったんですね。ただ芝居の匙加減をどうすべきか、ずっと悩んでいて。観客がどう受け止めてくれるのか、今から不安です(笑)」
これまでの劇団公演とは違う新たなドラマの打ち出し方は「自分でも意識した」と明言。
昨秋、数々のヒットドラマを手がけた脚本家、岡田惠和の書き下ろし舞台『不機嫌な女神たち プラス1』を演出した。その時の経験が大きく影響していると振り返る。
「ホンをいただいて、すごく困ったんですよ。