2023年2月3日 12:10
仁左衛門、一世一代の『霊験亀山鉾』、五世中村富十郎追善の鷹之資『船弁慶』ほか『二月大歌舞伎』初日レポート
歌舞伎座新開場十周年『二月大歌舞伎』が2月2日(木) に東京・歌舞伎座で開幕。その初日レポートが到着した。
片岡仁左衛門をはじめとした充実の顔ぶれで、彩り豊かな演目が上演される本公演。第一部は、河竹黙阿弥作『三人吉三巴白浪(さんにんきちさともえのしらなみ)』。幕末から明治時代にかけて活躍し、今年没後130年を迎えた河竹黙阿弥は、生涯360もの作品を世に送り出した。中でも『三人吉三巴白浪』は、盗賊が活躍する「白浪物」を得意とした黙阿弥が、同じ「吉三」の名を持つ三人の盗賊と百両の金を巡る因果話を、独特の絵画美と叙情美豊かに描き出した代表作のひとつだ。
今回はすでに定評のある尾上松緑の和尚吉三、片岡愛之助のお坊吉三、中村七之助のお嬢吉三の配役で、単独して上演されることの多いお馴染みの「大川端庚申塚」からドラマティックな「吉祥院」、大詰「本郷火の見櫓」まで、巧みに趣向が凝らされた通し狂言のうち、見どころあふれる三幕五場を抜粋した構成での上演となる。
節分の夜更け。
大川(隅田川)の川端にある庚申塚で、女に化けて盗み働きをするお嬢吉三(七之助)が、夜鷹のおとせ(中村壱太郎)から百両の金を奪い取る。