パナソニック汐留美術館『クールベと海展』6月1日より再開! レアリスムの巨匠による海の風景画の特異性を探る
加えて、参考資料として19世紀中頃に使用されていた水着も当時の写真とともに展示。1910年ころまでは、このようなスタイルの水着がスタンダードだったという。
左が男性もの、中、右は女性ものの水着
そして、展覧会のクライマックスとなる第五章「クールベの海」へ。22歳のときに生まれて初めて海を見て、そのときの印象を「奇妙なもの」と表現したクールベは、それから20数年後、ノルマンディーの海へ頻繁に赴き、生涯で海を主題にした作品を100点以上残す「海の画家」となった。
第五章「クールベの海」展示風景。左から、ギュスターヴ・クールベ《波》1870年、《波》1869年、《波》1869年。どの作品も浜辺や人、船を描かず、ただ波と水平線を描いている。特に波が崩れた瞬間の描写を非常に丁寧に描いており、近くで見ると白い部分はパレットナイフで若干盛り上がるように描いている。本展では彼が描いた海景画11点が展示される。
第五章「クールベの海」展示風景。左から、《波》1869年、《水平線上のスコール》1872-73年、《海》1875年。これらは、クールベが故郷のオルナンやスイス滞在中に描いたもの。
海から遠く離れた場所でも、クールベは思い出を頼りに海の風景画を描きつづけていた。