2021年10月16日 12:00
「劇場を包み込むような空気を作れる親獅子に」歌舞伎座『吉例顔見世大歌舞伎』出演片岡仁左衛門&片岡千之助会見レポート
これまではあえて作らなくても仔獅子に見えましたが、今回は逆にあどけなさを表現しなくてはならない。難しさがひとつ加わりました」
その千之助は、仁左衛門から常々「人に求められる役者になってほしい」と言われると語る。
「これは僕の役者としての目標であり、人生のモットーとなりました。そしてもうどんな形であれ、祖父から受け継げるものなら全部を受け継ぎたい」と口元を引き締める。
仁左衛門はその思いを引き取りこう語る。
「主役でも主役じゃなくても、あの人が出てきたらなんだか楽しい、見たくなる、お客様にそう思っていただける役者です。そして先輩方にはかわいがってもらい、使ってもらえる存在。たとえ気の合わない間柄でも、”この芝居を成立させるためにはなくてはならない”と思ってもらえるかどうか。
そうなるためには自分を磨く、アンテナを張る、何でも吸収する、先輩方の芝居を何度も見たり研究をすることが大切ですね」
そして「自分は説明が下手なので伝わるかどうか」と言いつつこう締めくくった。
「芸は積み重ね。”なんかええな”と思ってもらえることが大事なんです。今、このように語りながら私の頭には大先輩方の数々の素晴らしい舞台がフワーッと浮かんでおります。