2022年9月29日 07:00
鈴村健一・梶裕貴が感じた理想「リアルから目を背けないエンターテインメントから社会を覗いてほしい」
それぞれが誰かの幸せを守ろうとしているだけのはずなんですが、そこに様々な思惑が絡んでくることで、最終的に、どうしても誰かが悲しい思いをしてしまう。不甲斐ない話ですが、実に人間らしくもありますよね。
そんな状況下にあって、描かれているほとんどの登場人物たちの信念や在り方というのは、それぞれ形は違いますけれど、本当に立派でかっこいいなと思います。
鈴村皮肉なものだな、と思いますけどね。
長い年月、社会の中でもどんな政治形態がいいのか考え続けられる中で、完璧な考え方がないんだな、というのはみんなわかってると思います。でも、理想はやっぱり存在しているんですよね。特にエンターテインメントはその理想をどう描くかに向き合ってきたと思います。
――どういったところで感じられるのでしょうか。
鈴村エンターテイメントにまでリアルを持ち込まないでほしい、十分日常がリアルだから、と言っている人が多いイメージですね。実際に、そういった作品が増えていると思いますが、銀英伝はリアルから目を背けず、それでいて長年愛されているのがいろんな意味で皮肉というか。今のエンターテイメントの潮流から見ると、銀英伝は逆に異端になっていると思うと、不思議な感じがするんです。