最大の謎は主人公の“内面”。監督が語る『アースクエイクバード』
私は時間が経った現在もなお、哀悼の気持ちを抱え続けています。『アースクエイクバード』の物語に出会った時、私は現在の自分が向き合っている感情と同じようなものを発見したのです。その点で本作は自身の視点や世界観が、これまでで最も表現できたと思っています」
前に進みたいのに進めない、自分を見つけ出したいのに何かが障害になっている。そんな状況を描くために本作では“アースクエイクバード”が象徴的に登場する。タイトルにもなっているこの鳥は、劇中でテイジが語ったところによると、地震が発生した後にだけ鳴く鳥らしい。思い返してみると地震は予告なく人々を襲い、私たちの日常を揺さぶる。家具や家財道具は揺れてガタガタと音を立て、人々は何の準備もないまま恐怖の中に放り込まれる。そして地震は予告なく止み、静寂が戻ってくる。
しかし、それは地震が起こる前とまったく同じ状況だろうか?アースクエイクバードは本当に存在するのか?それは本当に鳥の鳴き声なのか?それとも過去や恐怖がエコーのように自分を取り巻いているのか?
「その通りです!アースクエイクバードは存在するのかもしれないし、ルーシーの頭の中で鳴いているだけの存在なのかもしれないのです!本作は全編を通じて、ふたつの視点が並行して描かれています。