2023年11月9日 16:00
【観劇レポート】異なる文化を持つ者同士が“歌”で繋がる感動を ミュージカル『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』
シスターたちが歌うナンバーも讃美歌だけでなくゴスペルにソウルにと多彩、いずれも心躍るものばかり。これをシスター役の俳優たちが個性的かつ、いきいきと無邪気に楽しそうに歌う姿は、観ているだけで不思議と涙が出るほど心を揺さぶられる。朝夏の歌唱もソウルフル度が増し、伸びやか。純粋に「歌って、合唱っていいな」と思う感動があり、音楽がデロリスとシスターたちを結びつけていくのが無条件に納得できる。
また、両者の交流の中で変わっていくのがデロリスだけでなく、シスターたちもまたデロリスの影響で変化していく、というのも良い。中でも内気な性格の修道女見習いメアリー・ロバート(梅田彩佳)の成長は観ていて胸が熱くなるものがある。
同時にほのかな恋も進行、デロリスに思いを寄せる警察官“汗っかきエディ”は初参加の廣瀬友祐(石井一孝とダブルキャスト)。長身のスタイルと整った顔立ちを持ちながらなぜかクセのある役も多い廣瀬が、今回も絶妙な“残念”さでコメディセンスを発揮している。しかしながらエディのコンプレックスやひたむきさも丁寧に描き、コミカルに寄せすぎずリアリティある人物像にしているのも好印象だ。
聖歌隊の歌唱力が評判となって廃院寸前の修道院に献金も集まり良いことだらけかと思いきや、注目が集まったことでデロリスの所在がカーティスに見つかって……。