くらし情報『高座と客席が一つになって武蔵の敵討ちを見守る5日間 神田伯山の「寛永宮本武蔵伝」連続読み【観劇レポート】』

2022年2月1日 16:00

高座と客席が一つになって武蔵の敵討ちを見守る5日間 神田伯山の「寛永宮本武蔵伝」連続読み【観劇レポート】

・市川左團次や、三代目河原崎権十郎のようにニヒルで苦み走った男だったり。筆者の脳内劇場がすばらしく豪華なことになっている。

五夜をコンプリートした達成感と武蔵の鮮やかな勝利が重なる爽快感

三日目は「玄達と宮内」「天狗退治」「吉岡又三郎」「熱湯風呂」「桃井源太左衛門」の五話。武蔵は京大坂でも玄達ら名だたる武芸者に次々と挑み、彼らから秘術を会得していく。伯山自身は「ダレ場」というが、むくつけき侍からビクビクしている町人まで、声質も姿勢も所作もスパンスパンと使い分け、物語はハイテンポで進む。極端に猫背にした低い姿勢から、右手に張扇、左手に扇子でスッと天地陰陽活殺の構えになるや、伯山の目に狂気が宿った。「いやこれ武蔵が乗り移っているでしょ」と息を呑むと、パン!と人懐っこい笑顔に切り替わる。あるいは「さあここからが大勝負か」と身構えた瞬間、フッとなぜか寄席の楽屋ネタを挟んでくる。
緊張が一気に解けて客席もドッと湧く。物語のまっただ中と現実を行ったり来たり、ジェットコースター感がすごい。そうか、この2時間弱、完全に伯山にこちらの呼吸をコントロールされていたのだと気づく。ちなみに今のところお通は出てこない。

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