くらし情報『高座と客席が一つになって武蔵の敵討ちを見守る5日間 神田伯山の「寛永宮本武蔵伝」連続読み【観劇レポート】』

2022年2月1日 16:00

高座と客席が一つになって武蔵の敵討ちを見守る5日間 神田伯山の「寛永宮本武蔵伝」連続読み【観劇レポート】

かと思うと歌舞伎の『鞘当』で知られる名古屋山三や不破伴左衛門がさりげなく出演するから油断できない。また、箱根山中で登場する怪しい駕籠かきが実は柔術家関口弥太郎で、他の読み物の人気キャラもさりげなくスピンオフしてくる。関口流柔術といえば歌舞伎の『引窓』の南与兵衛もたしか関口流だった。こんなふうにジャンルや作品を越えて人物がシンクロするのは伝統芸能の楽しいところだ。にしても、武蔵が偽岸柳の道場へ持って行った土産物とは何だったのだろう。

二日目は「竹ノ内加賀之介」「山本源藤次」「柳生十兵衛」「吉岡治太夫」の四話。江戸を出た武蔵は、その土地土地の剣豪たちと闘いながら西へと向かう。あるときは旅籠で揉み療治の最中に喧嘩となり、名古屋では御前試合をするはめに。
そして狂人との触れ込みなのに滅法強い柳生十兵衛とも一戦を交える。伯山の語りに身を委ねていると、道場の床がミシミシと鳴るのが聴こえ、庭の松の枝ぶりまで見える気がする。目を血走らせた男たちが次から次へと武蔵の前に現れる様は、国芳の武者絵のよう・・・いや二次元どころではない。武蔵が時に尾上松緑、時に中村勘九郎になって所狭しと暴れまわり、片や剣豪たちも、いかにも最強の大敵(ルビ=おおがたき)

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