くらし情報『高座と客席が一つになって武蔵の敵討ちを見守る5日間 神田伯山の「寛永宮本武蔵伝」連続読み【観劇レポート】』

2022年2月1日 16:00

高座と客席が一つになって武蔵の敵討ちを見守る5日間 神田伯山の「寛永宮本武蔵伝」連続読み【観劇レポート】

どちらを向いても少々ナルシスティックでむさ苦しい男たちだらけである。

高座と客席が一つになって武蔵の敵討ちを見守る5日間 神田伯山の「寛永宮本武蔵伝」連続読み【観劇レポート】

講談師 神田伯山 新春連続読み『寛永宮本武蔵伝』完全通し公演 令和四年より
連続読みも楽日を迎えた。前夜祭含めて五日間の運命共同体というかクラスメイトというか、客席にも何となく一体感が生まれている。「甕割試合」「山田真龍軒」「下関の船宿」「灘島の決闘」の四話。ついに豊前小倉の灘島で小次郎と対決の時がきた。武蔵といえば遅れて決闘の場へやってきて小次郎岸柳を焦れさせたというイメージがあるが、神田派の『寛永版』では「オンタイムに到着するんです」と伯山。小次郎岸柳は七十がらみだが、さすがにラスボス、圧倒的に強い。全十七話のクライマックスらしく武蔵は最大のピンチに陥る。
固唾を呑んで観戦する舟客と、シーンと静まり返ったあうるすぽっとの客席が一つに重なった。しかし武蔵、すでに昔の彼ならず。これまで闘ってきた剣豪たちから、命がけで盗み教わり、身に着けてきた技の数々を駆使して、ついに小次郎をしとめる。そうか、これは武蔵が西へ西へと旅をしながら成長していくビルドゥングスロマンでもあったのだ。五夜をコンプリートした達成感と武蔵の鮮やかな勝利に、なんともスカッといい気分だ。

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