仁左衛門×玉三郎 半世紀以上におよぶ黄金コンビを語る 「錦秋十月大歌舞伎」で共演
と推察。過去に共演した同じ鏡花の『滝の白糸』の村越欣弥や『日本橋』の葛木を例に「(村越や葛木は)多面性はあまりないけど、主税はいろんな面を持っている。“芯”がある役という部分が気に沿うんじゃないかと思います」と語り、仁左衛門もその言葉に深くうなずく。
一方、主税に尽くしながらも別れを告げられるお蔦について、玉三郎は「役の魅力というのはなかなか説明できないんですが……」と断りつつ、湯島天神での別れの名場面で、お蔦が主税が師から預かった手切れ金を一度は「こんなもの」と投げつけるも、最後は収め「あなたより先に死ぬまで人の髪を結って暮らします」と口にするシーンに言及。
「そういう時代の人間たちというものを感じますね。先代の(水谷)八重子先生が『十三夜』をやる時に『いま、こういうのはわかってもらえないと思うのよ。でもしんみりとわかるというより、こういう人たちがいたんだな…とわかってもらうしかない』とあの時代にすでにおっしゃっていました。どっぷり共感できるかはわからないけど、『こういう恋人たちがいたんだ』と実感していただくことが大事なんじゃないかと思う」と語る。
若い頃から“孝玉コンビ”として数々の名作を共につくり上げてきたふたり。