仁左衛門×玉三郎 半世紀以上におよぶ黄金コンビを語る 「錦秋十月大歌舞伎」で共演
印象深い共演作を尋ねると『於染久松色読販』、『桜姫東文章』、『盟三五大切』、『熊谷陣屋』などを挙げつつ「数限りないですね…」(玉三郎)としみじみ。『廓文章 吉田屋』に話が及ぶと、玉三郎は「最初は(仁左衛門が)『イヤだイヤだ』と言っていた」と明かし、仁左衛門も「(初めて演じたのは)27歳かな? まだ演じるのは無理だと思ったんだけど、喜の字屋のおじさん(=玉三郎の養父・十四代目守田勘彌)が「若い間に恥をかけ」と言ってくださって、やらせていただいたんです。『鬼門の喜兵衛』もそうで『イヤだ』って言ったのをおじさんが『やれ!』って(笑)。おじさんから受けた影響は非常に大きかったですね」とそこから役の幅が広がっていったとふり返る。
若い頃から、互いに強く意見をぶつけ合うようなことはほとんどなかったというが、いまの年齢になって感じる関係性の変化を尋ねると玉三郎は「お互いを思いやる気持ちが多くなったんじゃないか? 若い時分は、ぶつかりはしないけど『あれがしたい』『これがしたい』というのがあるんです。でも、この歳になったら『何ができるか?』『何をやりたいっておっしゃるか?』と気持ちに寄り添うところが大きい。