2021年10月20日 12:00
本作のヒロインはなぜ観客を魅了するのか?主演女優の語る映画『ビルド・ア・ガール』
と分析する。
「この映画が他の作品といろいろな意味で違うのは、ジョアンナがもっと何かを求めてクールになりたいと思っているわけではなく、クールになることを必要としているところじゃないかな。家族を貧困から救うためにお金が要る。だから、郊外のウォルヴァ―ハンプトンから出て、何者かにならなければいけない。そのために自分の背中を押す必要がある。それは美しいことでもあると思う。
もちろんその後、彼女が夢中になってしまうような生活が待っているわけだけど、最初は原始的な必要性に駆られていたと思う。家族を貧困に追い込んでしまったのは自分だから、そこから抜け出せるようにしなければいけない。
兄弟が食べ物に困らないようにしなければいけないし、親が自分に対して怒りを抱かないようにしたいし、(貧困ゆえ撤去されてしまった)TVも取り戻さない。そういう原始的なレベルの“必要”が物語が進むと、クールにならなければいけないという“必要”に取って変わっていく。キャトリン(本作のモデルであり脚本も執筆したキャトリン・モラン)はそのあたりの力学をとても興味深い形で考察していると思う」
彼女が語る通り、主人公ジョアンナは有名になりたいわけでも、意識の高い若者でもない。