2022年10月7日 12:00
美術を介して鉄道史を振り返る『鉄道と美術の150年』10月8日より開催
10月8日(土)より、東京ステーションギャラリーでは、『鉄道と美術の150年』が開催される。明治5(1872)年、新橋―横浜間で開業した日本の鉄道は、今年150周年を迎えたが、実は、これまで「書画」などと呼ばれていた創作活動に「美術」という言葉が当てられるようになったのも、明治5年。そこで同展では、鉄道と美術、150年の様相を、鉄道史や美術史はもちろん、政治、社会、戦争、風俗など、さまざまな視点から読み解き、両者の「ただならぬ」関係を明らかにする。
その関係のひとつは、「鉄道は常に美術を触発し、美術は鉄道を挑発する」ということだ。開業前後から、鉄道は多くの絵師たちが浮世絵に遺し、やがて洋画家や日本画家もモチーフとしてきたが、一方、駅や電車内で,パフォーマンスや作品の発表が行われるなど、まるで挑発するかのように、美術が鉄道を制作行為に巻き込んできたこともしばしばだ。このような鉄道と美術の関係を掘り下げて紹介する同展は、まさに駅舎の中にある東京ステーションギャラリーならではの展覧会といえるだろう。
絵画では、鉄道が開通する前に河鍋暁斎が想像で描いた「極楽行きの汽車」(『地獄極楽めぐりの図』より)