ポール・メスカルとデンゼル・ワシントンが語る超大作『グラディエーターII』
彼は商人として振る舞っているが、皇帝のことを憎んでおり、皇帝の座を奪うのではなく、皇帝を陰から操りたいと思っている。ワシントンは「そうなんです。彼が皇帝を“操る”ことに面白みを感じました」と振り返る。
「マルコムXの言葉を引用させてもらうと“権力を保持するためには手段を選ばない”ということです。ローマ帝国と現代のアメリカはだいぶかけ離れた国ですが、すごく似通っている部分があります。それは日本でも中国でも、韓国でも同じなんです。どの国でも権力を保持するためには手段を選ばないのです。それは時代を経ても変わらない真理だと思います。
そして、マクリヌスは権力の“黒幕”になりたいと切望している。自分が権力の舞台に立ってしまったら、命を狙われる危険性があるからです」
本作では闘技場での苛烈な戦いが描かれる一方で、主人公をめぐる運命のドラマ、帝国での緊迫感のある陰謀劇が同時に描かれる。本作を描くには、古典と歴史の知識があり、大規模な撮影現場を率いるスキルがあり、俳優から信頼を集める才能が必要になる。本作ではそのすべての才能を持つ巨匠リドリー・スコットが監督を務めた。名優ワシントンは彼を”グランドマスター”と呼ぶ。