それだけに監督との思い出を振り返る二宮の口調も自然と砕けたものになる。
「結局、1時間半ずっと撮りっぱなしで。僕、映画の現場で初めて見ましたよ。カメラマンさんがカメラの(メモリー)カードを途中で替えるのを(笑)。2台で撮っていたんですけど、そのうち1台が途中で落ちちゃって。ささっとカードを差し替えてたんです。これはもうデジタルだからできることですよね。もしフィルムでこの量を撮っていたら、大変なことになっていたんじゃないかな(笑)」
だが、そうした撮り方をするのにも監督の狙いがある。
旧知の仲である二宮も、監督の意図はもちろん承知の上だ。
「そうやって長く撮っていると、やっぱり途中で役者の中に“緩み”が出てくる。そういう本来見えないものが見えたときに喜ぶ人なんですよ、タカハタさんは。俳優のお芝居を信頼した上で、一瞬垣間見える波瑠ちゃんなり二宮和也をおさえることを面白がる人。1時間半カメラを回して、使うのはほんの数秒なんだけど、タカハタさんにとっては使う使わないは問題じゃないんです」
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