そこのバランスというか、ちょうどいい塩梅を現場では常に探っていました」
だが、どんなジャンルであっても二宮和也は二宮和也。まるで本当にその人が実在するような自然さでスクリーンの中に佇んでいる。この作品や役に溶け込む力は何から生まれているのだろうか。
「さっき陶芸の話をしましたけど、『優しい時間』で先生に陶芸を教えてもらうときに言われた言葉があって。それが今も、そうだよなって心に残っているんですよね」
そう話しながら、二宮は少しだけ遠くを見つめる。
「これは他の誰にも真似できない、俺にしかつくれない皿だというものは、1枚なら誰でもつくれる。それよりももっと難しいのが、どこにでもある、割れたらすぐに替えが効くような、平凡な皿をつくることだって」
![二宮和也が“非凡”である理由「平凡こそ難しい」](https://imgc.eximg.jp/i=https%253A%252F%252Fs.eximg.jp%252Fexpub%252Ffeed%252FLP_P_PIA%252F2023%252FLP_P_PIA_890d764f_e64a_4afb_8bb8_40d248556d79%252FLP_P_PIA_890d764f_e64a_4afb_8bb8_40d248556d79_81613dd8e3b7503943fb_9.jpg,small=600,quality=80,type=jpg)
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芸術性というのは、唯一無二のオリジナリティにこそ宿るようにも思える。だが、本当に技術やセンスが問われるのは、奇をてらうことではない。
地味で、なんでもないものにこそ、その人の本質が試される。
「あるじゃないですか。お店で普通に100円とかで売っていて。4〜5枚重ねても丈夫なお皿って。