2024年2月26日 12:00
『ゴールド・ボーイ』岡田将生と羽村仁成、ひりひりする悪だくみの頭脳戦【おとなの映画ガイド】
この映画は、そのネットワークを活用し、中国をはじめ、アジアでの公開を前提としているという。『デスノート』や、「平成ガメラ」シリーズなど、アジア圏でも人気と知名度の高い金子修介監督に企画を持ち込んだ。
文庫本でも上下2冊になるほどの長編小説を映画化するにあたり、金子修介監督は港岳彦に脚本を依頼した。最近では、複雑に絡み合う群像劇『正欲』を、まさに力業でまとめあげた名手だ。
このふたりが意識したのはアラン・ドロン主演の『太陽がいっぱい』だったという。地中海の海を舞台に美貌と野心を持つ青年が大富豪の息子を殺し、成りすまそうとするサスペンス映画の名作。
金子監督はキネマ旬報のインタビューでこんな風に語っている。
「港くんとは脚本段階から『太陽がいっぱい』を合言葉にして、話し合ったんです。
岡田くんはその雰囲気にうまく合っていた」(キネマ旬報3月号)
天性の美しさを持つ悪党役。岡田将生は、義父母を殺し、何食わぬ顔で日常を送る主人公。なるほどぴったりはまっている。
そのクールな昇を手玉にとるのが、3人の少年少女。特に、そのリーダー格ともいえる朝陽と昇の、ひりひりする頭脳戦、心理戦がこの映画の見せ場である。