誰かと比べ合わなくていい。中村倫也に聞く、あるがままの自分を受け入れるということ
たとえばこういうキャラクターだったらこういう喋り方をするだろうなということを考え、特徴を取り入れていく。そうやって少しずつ自分なりの声の表現というのができるようになりました」
中村倫也の舞台に行くとわかるが、彼の台詞はどんなに早口でも一語一句まで綺麗に聞き取れる。また、声色の使い分けも巧みだ。たとえば、『この恋あたためますか』の浅羽なら低音域を効かせて有能冷徹な男の雰囲気を強調し、『凪のお暇』のゴンなら甘み成分多めの優しい声で天然人たらしというキャラクターに説得力を持たせた。
そして、この『劇場版 岩合光昭の世界ネコ歩きあるがままに、水と大地のネコ家族』では、よりソフトな声で作品の中に流れるゆったりとした空気を引き立てている。
「ナレーションの声は、ほとんどいつもの僕のまんまです。観ている人を作品の世界にいざなうとか、情報を正確に伝えるとか、考えることはもちろんありますけど、ほとんど何もしていないです。普段から野良猫を見かけると『何してるの?』って話しかけるタイプなので。
普段猫に話しかけているような感じでナレーションも読ませてもらいました」
北海道の牧場と、ミャンマーのインレー湖。