2024年2月19日 13:15
清原惟監督『すべての夜を思いだす』ご当地・多摩ニュータウンで先行上映イベントを開催
その間には30年分、40年分の夜が沢山あったということです。まさに沢山の夜を思いだす、そういう映画になっていると感じました。
最後の方で、ふたりの大学生が花火をやっているシーンがあります。亡くなった旧友の命日を、敢えて言うと、祝っている。そこにふらっとやって来るのが、たったひとりで誕生日を祝っている、今日が誕生日のハローワークに行っていた女性。誕生日と命日、生と死という抽象的で真逆の概念を、同じワンショットの中で見えるように可視化している恐るべきショットにゾクゾクしました。本当に凄いショットです。映画全体をとおして、ものすごくイマジネーションを掻き立てられる構造に感動しました。
南波克行
横溝惇南波さんが今おっしゃったような物語的な構造と、清原監督が幼少期に過ごした多摩ニュータウンの思い出など、そういった色々な時間も含めたレイヤーのようなものが物語の中にすごく入っていて、それがニュータウンの構造とマッチして物語が展開している映画だと思いました。清原監督の映画はレイヤーを感じさせる作品が多いと思うのですが、この映画も動くシーンが多く、主人公たちがどんどん移動していきます。Aという場所からBという場所に行くレイヤーの構造というのがニュータウンならではの映画だなというのが感想です。