「ぶつかりあって生まれる熱量を届けたい」 『オレステスとピュラデス』鈴木仁×濱田龍臣インタビュー
――オレステスは、杉原さんが前回演出した『グリークス』で描かれたトロイア戦争のギリシャ軍大将・アガメムノンの息子であり、神託を受けて母を殺します。今作ではその後、復讐の女神の呪いに苛まれたオレステスが、それを解くために母殺しを手伝った親友ピュラデスとともに旅をする物語と聞いています。瀬戸山美咲さんによって新たに紡がれた戯曲を読んでみて、物語やご自分たちの役柄についてどんなふうに捉えていますか?
鈴木ギリシャ悲劇の中でも描かれていない物語ということは、もちろん難しさもありますが、新しいものを自分たちでイチから作りあげられる自由さもあるなと思っています。ギリシャ悲劇の世界に触れてみて感じたのは、現代とは人を殺す感覚がちょっと違うのかな、ということ。戦争もありますし、オレステスのように親子の間での殺し合いもありますし。もちろん、オレステス自身は母を殺したことを深く捉え、罪悪感を覚えて囚われて生きていますけど、今の自分に単純に置き換えるのとはちょっと違う面があるのかなと思いながら脚本を読みました。
濱田そうですね。昔の作品ということもあって、人間の感情がすごくストレートにあらわれているという印象が強いです。