“人間の本質”を描きたい。監督が語る映画『巡礼の約束』
ひとつの途切れないショットの中でシーン丸ごとを演じ、やり切らなければならないわけですから。私は現場で脚本を変えることもあるし、撮影場所の光線を見て、撮影するシーンを変えることもあります。その上、私は事前にリハーサルを一切しません。というのも、私の映画に出てもらう人の多くはプロの俳優ではなく、素人の方です。彼らは事前にリハーサルをすると、本番の際に演技を“つくって”しまうのでシーンがダメになってしまうのです。結果、編集のスタッフに“監督は本当に大胆なことをしましたね”と言われてしまいました(笑)」
それでも監督は最後まで撮影スタイルを曲げず、カメラの前にいる人間の“感情の変化”をおさめることに注力したようだ。「そうですね。登場人物がその場で感じている“感覚”を描きたいのです。
私はこの映画で人間の普遍的な姿、人間とはそもそもどういう存在なのかを描きたいと思いました。ですからチベットに住んでいない方が観ても、巡礼に関する知識がまったくない方が観ても、楽しんでいただける映画になったと思います」
『巡礼の約束』
2月8日(土)より岩波ホールほか全国順次公開