2023年8月16日 12:00
裁判、それ自体もひとつの“事件”。名作を現代によみがえらせる『連続ドラマW 事件』で椎名桔平が法廷に立つ
僕が傍聴させていただいた霞が関の法廷と比べても、「どっちが本物なんだろう?」というくらい。その場に立つ出演者たちも、役の人物にしか見えませんでした。
それも十分な準備期間があってこそで、皆さんいろいろ考えてきていたと思うんです。過去の映画を見たり、原作を読んだりもして。だから本当にもう、皆さんの芝居が面白くて。それを役としてどう受け止め、どう投げ返そうかと考える時間が何より楽しかったです。リアルなセットでリアルな感情をぶつけ合う。これに勝るものはありませんから。
──役者冥利に尽きる時間だった?
椎名そう言えますね。でも、大変ですよ。仕事じゃなきゃ絶対に覚えられない分量の台詞を覚えて。これだけの物覚えを勉強で生かせていたら、成績はもっと良かったはず(笑)。
──でも、大変さも伴う作品に惹かれるんですね。
椎名やりがいは感じますね。あとは、鮮度を求める気持ちも大きいです。役者って不思議なもので、過去にやったような役と、例えば同じ職業の役でも全然違うなと思えるものを自然と測れるようになるんです。
もちろん、全く同じ役なんてものはないんですが、物語に沿った歩み方を含め、「前にやったな……」