『マティス展』展示の模様をレポート! 油彩・彫刻・切り紙絵など約150点がポンピドゥー・センターから来日
《読書する女性》はマティスの作品で初めて国家買い上げとなった物。カミーユ・コローの影響を受けた作品だ。
《読書する女性》1895年ポンピドゥー・センター/国立近代美術館
そして、《豪奢、静寂、逸楽》は日本初公開作品。マティスは1904年に、筆触分割技法で知られる画家、ポール・シニャックの招きでサントロペを訪問。この作品はシニャックに影響を受け、筆触分割技法を試みている。この翌年、マティスはサロン・ドートンヌで激しい色彩の絵を発表。大論争となり、批判する評論家の「野獣のようだ」という言葉からフォーヴィスムと呼ばれるようになった。
《豪奢、静寂、逸楽》1904年ポンピドゥー・センター/国立近代美術館蔵
2点の作品の間にながれる時間はわずか9年。短い期間で彼の画風は大幅に変化していったのだ。そしてこの後も大きく変わっていく。
2章「ラディカルな探求の時代 1914–1918」は第一次世界大戦中のマティスに着目する。息子など身近な人間が徴兵され、孤独を感じたマティスはその心情を作品にしたかのような、それまでとは異なる作品を制作しはじめる。《金魚鉢のある室内》をはじめ、窓を描く作品が多いのもこの時期のマティスの特長だ。