HYDE、ツアーファイナル公演レポート到着 映像作品として発売&6月より全国ツアー開催も決定
例えば「DEFEAT」など最新リリース曲でありながら、持ち味であるヘヴィにして剣呑な疾走感を削ぎ落とし、フリースタイルジャズを想起させる洒脱でスリリングなアンサンブルと艶めいたヴォーカルがオリジナルの印象をあっさりと塗り替えてしまいそうだ。
エスニックな音像と呪術的な歌声が聴く者を延々とトランス状態に導いた「SET IN STONE」。ライヴの鉄板チューンとしてアグレッシヴにオーディエンスを駆り立ててきた「ANOTHER MOMENT」はひたすら流麗なバラードに、中島美嘉への提供曲として話題を呼んだ「KISS OF DEATH」のセルフカヴァーは洒脱な肌触りをたたえたシティポップに生まれ変わり、「DEVIL SIDE」のデモーニッシュな凶暴性はボッサ風の官能的なアレンジの前にすっかり影を潜めて新しい輝きを燦々と放つ。しかも、どの曲をとってもまったく違和感を覚えないのだから見事としか言いようがなく、HYDEをして「どのアレンジも大好き、音源が欲しくなるよね。ホントいい20周年だなと思って」と言わしめるほど。HYDEとともにリアレンジを練り上げた彼自慢のバンドメンバーによる卓抜したスキルとセンスの賜物でもあり、どんなアレンジを加えても揺るがないメロディと確立された世界観もまたそれを可能にしたのだろう。