2021年5月14日 07:00
松坂桃李&広瀬すずが向き合った“命のしまい方”「まだ答えが出ないことが、僕の答え」
役への染み込ませ方をじっくり温かくやられる方だなと。たとえば、診療所の咲和子先生のデスクにはペンとかいろんなものが置いてあるんですけど、そういう小物も手にとって、まずご自身でお使いになるんです。たぶんどれもほとんどカメラには映らないものばかり。それでもちゃんと自分に馴染ませる姿を見て、すごいなと思いました」(松坂)
「現場のみなさんが『吉永さんの作品』ということに誇りと愛情を持っていて。その景色が、今まで見てきたどの現場とも違っていて、改めて本当にすごい方なんだなと思いました。でもご本人はあくまで演じる側のひとりとして作品に丁寧に向き合われているんですね。その姿に刺激をいただきました。吉永さんの集中力がすごいので、一瞬でも私の集中が切れた瞬間があったら吉永さんに見透かされてしまうんじゃないかって。
そんないい緊張感のある現場でした」(広瀬)
在宅医療を主題とした本作では、癌が再発した囲碁棋士、末期の膵臓癌を患う元高級官僚など、命の終わりに直面した人々が多く登場する。ふたりは、特にどのエピソードに心を打たれただろうか。
「僕は、田中泯さんが演じる咲和子先生のお父さんの話ですね。病に倒れたお父さんは『自分の命は自分で決めたい』と咲和子先生に頼むんですけど、法律的に許されることではないですし、ましてやドクターである咲和子先生にとっては考えられないことじゃないですか。