2021年12月7日 07:00
「セクシュアルマイノリティ」について自分の意見がなかった神尾楓珠がゲイの高校生を演じて気づいたこと
すると神尾は少し考えて、まるで体のどこかに残っている三浦紗枝のぬくもりを探るようにこう話した。
「最初は、純も自分が女の子を好きになれるかどうか実験みたいな感じで紗枝を利用したところがあったんですけど。きっと紗枝の見返りを求めないところに惹かれたんだと思うんですよね。確かに紗枝は純にとって恋愛対象ではないかもしれない。だけど、人生におけるターニングポイントというか、純が変わるきっかけをくれた人だと思います」
人の関係は、男とか女とか、恋愛とか、友情とか、そういう世界を簡単にする言葉でわかりやすく線を引かれていく。でもきっと、世界はそれだけじゃない。世界はもっと複雑なのだ。
「2人を見て思ったのは、性別関係なく、わかり合えることがあるんだなということ。
この2人は口だけの理解じゃなく、ちゃんとお互いを理解できたから、ああいう関係になれた。それができたのは、自分のことを理解してもらおうとする気持ちだったり、相手のことを理解したいという気持ちだったり、そういうのが一緒だったからなんじゃないかなって」
神尾楓珠は決して口数の多いタイプではない。でも何か自分の言葉で話そうとするときは、不器用そうに、でも真摯に、一生懸命、言葉を紡いでいく。