2021年9月8日 07:00
映画館みんなで参加できる『映画 おかあさんといっしょ』に込められた真摯なメッセージとは? プロデューサーが語る
だから"コロナ禍をどう描くのか?”がこの映画のテーマのひとつで、そこで出てきたのが“ヘンテコ世界”です。ある種、コロナ禍の象徴だと捉えられるのかもしれない。3年前の状況と比べたら、いまは少し変な世界なんですよね。だから、“ヘンテコ世界”で起こる変な体験だったり、ヘンテコなものをどのように解決していくのか? それを描くことで、今の世の中に対するメッセージだったり、励ましであったり、共感が生まれるのではないかと思ったのです」
もちろん、本作は楽しい場面がたくさんあり、メッセージがお説教のように描かれたり、シリアスな展開として描かれることはない。しかし、劇中で歌のお姉さんは“色がなくなってしまったヘンテコな世界”に迷い込んでしまい、自分はなぜ歌っているのか、自分はみんなの役に立っているのか迷ってしまう。ここにも子どもたちや時代と真摯に向き合おうとする制作陣の想いが感じられる。
「誰かがアイデンティティを喪失する展開は、企画の初期の段階から考えていましたし、コロナ禍で起こった一番のヘンテコポイントだろうと思っていました。コロナ禍の状況で自信を喪失したり、自分の居場所を失ってしまったり、迷ったりすることは現実にもあると思うんですね。