2023年7月25日 12:00
完璧な舞台が初演から約70年を経て実現! 三代澤康司が観た『ウエスト・サイド・ストーリー』
逆にジェッツ団も「俺たちも行くぞ」と歌う。一方、マリアの兄の恋人のアニータはアニータで「今夜は恋人のベルナルドと甘い夜を過ごすのよ」と歌う。トニーは「今夜、マリアと会うんだ」、マリアは「トニーが会いに来てくれる」と、それぞれが自分の思いを五重奏で表現するんです。映画はそれぞれのシーンを撮るけれど、舞台は皆で一緒に一気に歌いあげる。このシーンをいつも一番、楽しみにしています。ここまで胸に迫るものはないですね。今回もきましたよ。
――まさにミュージカルの醍醐味を感じるシーンですね。
その後、決闘になり、2幕目の最初に『アイ・フィール・プリティ』とマリアが明るく歌う転換の仕方もいい。決闘が起こって、トニーが兄を殺したとは知らない屈託のないマリアの姿が描かれていて、上手にできてたんやなと改めて気づきましたね。また、1幕目の『クール』のダンスシーンも好きです。「クールにいこう、熱くなっちゃだめだぞ」といいながら、ダンスは非常に熱いんです。トニーとマリアのデュエット『ワン・ハンド・ワン・ハート』では、60を超えたおじいさんの(笑)、青春時代の熱い恋を思い出させてくれました。
――そんな、まだまだお若いです。