2022年11月20日 12:00
【おとな向け映画ガイド】いま一番泣ける映画 大泉洋、柴咲コウ、有村架純、目黒蓮が織りなす世代を超えた奇跡の愛──『月の満ち欠け』
三角と瑠璃が出会い、恋に落ちる街が高田馬場という設定。時代は1980年。三角が瑠璃を待ち続ける早稲田松竹は、現在ある実際の映画館前でロケ撮影されているが、他に重要なシーンの舞台となる高田馬場駅の駅前周辺は、茨城県筑西市に巨大なオープンセットを作り、その町並みを再現した。高田馬場をよく知っている人が、セットの話を知らずに見たら、どうやって撮影したのだろうと驚くはず。CGではだせないリアル感が細部にわたって作りこまれているのだ。
時代のリアリティを醸し出すために使われた、さらに豪華なアイコンともいえるのが音楽。80年といえば、ジョン・レノンがニューヨークで凶弾に倒れた年。その秋から冬にかけて、世界中の街に流れていた彼のアルバム『ダブル・ファンタジー』のなかの一曲「Woman」が劇中曲として効果的に使われている。
原作小説は、早稲田松竹のほかに高田馬場東映パラスという映画館が登場したり、当時の映画好きにとってはニヤリとさせるワードが並ぶ。映画も、そんな目配せでいっぱいだ。雑誌『ぴあ』を読んでいた人にも刺さると思う。例えば、三角が着ているTシャツロゴも映画のタイトル、『スウェーディッシュ・ラブ・ストーリー』。