2020年7月16日 12:00
古典的SF小説の“その先”を描く。『日本沈没2020』監督が語る
「小松左京さんの小説はいま思うと、地震のメカニズムだったりが一般の人に浸透するきっかけになった作品だったのかなと思います。小説の先を小松さんはその時点では描ききれなくて、のちに共著で描かれていますけど、今回の作品に関してはひとつの家族を主役にするのであれば、その先が描けると思いましたし、今だからこそ『日本沈没』をその先まで描く意味があるのかなと」
過酷な状況の中で主人公たちは選択を迫られ、決断し、時に大切な人間を失い、それでも止まらずに前に進んでいく。明確な正解がわかりにくくなってしまった現代で、本作が描くドラマは小説の刊行時よりも切実な物語として受け止められるはずだ。
「正解を出すことが重要ではあると思うんですけど、逆にそこを求めすぎるあまり混乱している人は多いのかな?とも感じます。要は自分がその選択に納得できるかだと思うんですよね。もし、悪いことが起こっても自分が選んだ結果ならば納得するだろうし、危ないし失敗するかもしれないけど“自分が選んだ”という確信があれば、それでいいんじゃないかと思うんです。違うと感じたならば、そこで改めて対応すればいいわけですし……そういう考えが基本的にあるんだと思います」