2021年9月29日 12:00
女性キャストのみで魅せる『ジュリアス・シーザー』森新太郎×吉田羊インタビュー
一方で、大変な挑戦だと思うんです。史実も含めて有名な作品ですし、お客さんの固定観念を取り払うのは容易ではありません。でも本作は森さんが元の戯曲から取捨選択して、男女それぞれの役割を固定するようなセリフがほとんどカットされているんです。これによって性別という概念がなりを潜めて、「人間同士」の会話として響くようになった気がしますね。その先にどんな感情が見えてくるのか、ぜひ劇場でお確かめいただきたいです。
吉田羊
──現時点で、どんな衣裳をお考えでしょうか?
森オールフィメールでよく見かけるのは、男性のフォーマルを着せてしまうパターンですよね。今回でいうなら、古代ローマの軍人が装着していたような「鎧」で男装するような。でも僕、レトリックの多いシェイクスピア作品では「言葉」を鎧にした方がいいんじゃないかと思うんですよ。
吉田たしかに。おもしろいですね!
森いまイメージしているのは、コンテンポラリーダンスの踊り手が身につけるような抽象的でシンプルな衣裳です。男装する女性キャストがリアルを追求すると、胸を潰したり男性の体に近づけようとするでしょう? でも今回はそれやる必要はないと思っていて。