くらし情報『孤独な地縛霊の“眼差し”通じて人間を描く『とりわけ眺めの悪い部屋』山西竜矢×湯川ひなインタビュー』

2021年11月8日 19:30

孤独な地縛霊の“眼差し”通じて人間を描く『とりわけ眺めの悪い部屋』山西竜矢×湯川ひなインタビュー

そういう中で湯川さんとしてはイコールor not、どちらの路線で役を深めているんでしょうか?

湯川生前と幽霊の夏子は「同じ人物ではない」という結論を出しました。一郎みたいに心を通わせた人は、たぶん生前いなかった。幽霊になって初めて人と心を通わせることができるようになったんじゃないかな、と想像して。一方で、生前の夏子はずいぶん大人っぽい人だったんじゃないかな……とも思いました。山西さんもおっしゃったように、彼女は周りを客観視する“眼差し”の持ち主なので。

──生前と幽体の夏子は別人格でありながらも、生前の名残みたいなものが見え隠れすることもある……ということでしょうか?
湯川幽霊になって、夏子の時間は止まってしまいました。生きていれば29歳の一郎と同じくらいの年齢なのに、死んでしまった19歳の姿のままでいるしかない。その年にしては大人びている夏子の“眼差し”は、とにかく一郎や彼の部屋を訪れた人に注がれる、というか。


──切ないですね。夏子はどんな風に一郎や訪問者を見つめているんでしょう?

湯川たとえば言い合っている二人がいても、その渦中にいる話者ではなく様子を見守っている人に“眼差し”を向けたりするんですよね。

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